2016年創業。本社は沖縄県読谷村、東京オフィスを麻布十番におく。「世界中のコミュニケーションに知識とインスピレーションをもたらす」というビジョンのもと、カンファレンス事業、メディア事業、エデュケーション事業を展開。
今回スマートエントリーを導入していただいたのは、同社のカンファレンス事業において、2020年10月に沖縄で開催された合宿型カンファレンス「マーケティングアジェンダ2020」。新型コロナウイルスの感染対策を強化するため、どのようにスマートエントリーを活用いただいたのか、お話をうかがいました。
中野様がナノベーションを設立されたのは2016年ですね。どんな思いがあったのでしょう。
もともとは、株式会社宣伝会議で雑誌媒体を営業、イベントの協賛枠のセールスを担当し、その後アドテックなどのイベント事業を展開していたdmg events Japan(現在、アドテックはCOMEXPOSIUM JAPANが開催)で事業責任者を務めていました。dmg社を退職後、これまでの経験で培ったことを活かして、2016年にナノベーションを立ち上げました。
私は、宣伝会議の「宣伝・広告界の発展に貢献する」というビジョンにいまでも共感しています。退職してからも常にその言葉を自分自身のビジョンとしても掲げて働いてきました。そうするうちにだんだんと「イノベーションを起こす人たちが活躍する素地を整えたい」という信念へとつながっていったのです。だから、当社の企業理念「世界中のコミュニケーションに知識とインスピレーションをもたらす」も、その信念から生まれています。
知識や情報だけでなく、インスピレーションも生まれるような場を、カンファレンスという形で提供されているのですね。10月のマーケティングアジェンダは沖縄開催でしたが、なぜその場所で?
当社のカンファレンスは、参加してくださる方々の「ハレの日」にしたいという思いで開催しています。例えば、高級なホテルで行うパーティは確かに素敵です。でもそれ以上の感動を追い求めるには、より豪華なところを選ぶしかない。でもそれでは、東京でもどこでも体験できる。特別な体験にならないと思うんです。
だから「参加者が何を見て、どう感じることが特別な体験になるのか」を常に意識して、企画や場所選びをします。さらに、参加してくださった方々に心からご満足いただけるように、セッションも日本でトップクラスのマーケターに登壇いただくことを徹底しています。それがイノベーションが生まれるきっかけにつながればいいなと。
本社も沖縄にあるとうかがいました。
はい。気温が違うからなのか海があるからなのか、那覇空港に到着するたび気持ちが切り替わるんです。参加者の方に特別な体験をしていただくためには、まず自分自身の感覚の変化にも敏感になっていなければいけない。そういう意味でも、沖縄に本社を置いたことは良かったと思っています。2020年は新型コロナウイルスの影響で、頻繁には行けませんでしたが。
マーケティングアジェンダ2020(沖縄開催)の開催も本当は5月の予定でしたね。
はい。延期は、正直、大きな決断でした(笑)。ただ周りの方の助言で、早い段階から延期を見込んで準備を始めたので、大きな混乱はなく進めることができました。
でもその頃はまだ、新型コロナウィルスの感染対策を徹底的に行うことは考えてはいなかったんです。自治体の指示に従う、というのが一番良いだろうと考えていたんです。
感染対策を強化しようと決めたきっかけは?
あるとき、知り合いの飲食店の経営者の方から教えてもらったんです。お客さんがたくさん入っているお店とそうではないお店がありますよね? 聞くと、その違いを生み出している要素のひとつに「コロナ対策を徹底しているかどうか」ということがあると。私の知り合いも、コロナ対策を強化し、それをお客さんにも伝わるようにしたところ、お店が活気づいたそうで。
その話を聞いて、マーケティングアジェンダも、開催の3ヶ月前でしたが、コロナ対策の改善を行うことにしました。それは他社が主催するイベントとの差別化にもなりますし、何より参加者200人全員に安心して楽しんでいただきたかったので。
リスクの許容度は人によって違いますよね。消毒や非接触を徹底することを考えながら、「もしも、私よりももっとリスクを不安に感じる方が参加されたら」と想定して、どんなことが気になるのかを徹底的に洗い出しました。
その中に名刺の受け渡しがあったのですね。
はい。マーケティングアジェンダは、学びよりも、つながりをつくることを大切にしています。だから参加者同士が名刺交換をするシーンも多い。その当たり前の行動に大きなリスクがありました。
「紙の名刺を使わずに済む仕組みが必要だ」と考えたときに、ふと浮かんだのがEightのオンライン名刺(デジタル名刺)です。さっそくEightに相談し、詳しく教えていただきました。
オンライン名刺(デジタル名刺)交換の導入によって、参加者同士の名刺交換は、紙の名刺を使わない仕組みが整いました。しかし、肝心なことを見落としていたんです。受付です。カンファレンスの受付は、多くの場合、参加者から名刺をもらい来場確認をします。つまり参加者が紙の名刺を持っていないと出欠確認ができない。そこで慌てて再度「オンライン名刺(デジタル名刺)で受付確認する方法はありませんか」とEightに相談しました。
当時ローンチしたてのスマートエントリーをご提案させていただきましたね。
はい、開催時期がもう少し早かったら使うことができませんでした。本当に良いタイミングだったと思います。
使ってみてどうでしたか。
受付はすごく良かったです。参加者は、運営側が用意したQRコードをスマホで読み取って、タップするだけで入場ができます。QRコードの読み取りスピードも思ったより速く、受付待ちの行列ができることもありませんでした。
それから、当カンファレンスは、全てのコンテンツにおいて全員出席が基本なので、開催中の各コンテンツごとに出欠確認を行います。ですからレクリエーションやパーティ会場、朝食や夕食など、移動をする度に出欠確認を取り、いない人が誰なのかを把握しているんです。その場面でも、今回はスマートエントリーを活用できました。参加者に各コンテンツに入る時と出る時にQRコードを読み込んでタップしてもらえば、オンラインで出欠確認ができます。
これまでは全て紙の名刺を提出してもらって確認を?
はい。移動するたびに参加者に名刺を出してもらい、運営側が数えて、いない人が誰なのかを名簿を照らし合わせて確認して……というやり方で進めていたので、時間がかかって大変でした。だから今回、名刺を集める手間も省けたし、名刺と名簿を照らしあわせる必要もなく本当に楽でした。
さらに情報管理の面でもメリットがありました。他社のイベントでも、受付で預かった名刺を、預かった状態で受付に放置しているケースが多いですが、それはとても危険だと思っていて。スマートエントリーなら、集めた名刺をなくすなどのトラブルも起こらず、個人情報の管理が安定します。
カンファレンス開催において、新型コロナウイルス感染対策以外で課題と感じられている点はありますか?
今はまだ構想中ですが、今後は数千人規模のものも開催したいと思っています。大規模のカンファレンスでは、同時間にさまざまなセッションを行うので、参加者が各会場に分かれます。その時に誰がどこに動くかを把握したいんです。過去に、位置情報を確認するビーコンを使ったことがありますが、実際の人数と5%ぐらいの誤差が出てしまいました。スポンサーに渡すデータとして、その誤差は大きい。かといって、正確な人数を把握できる新しいサービスを導入するのは、高額のコストがかかります。だからこそ、もともとあるEightがベースになっているスマートエントリーが使えると良いですよね。参加者に各セッション会場に入るときと出るときに、QRコードを読み込んでタップしてもらえばいいだけ。オフラインはもちろん、オンラインのイベントでも使えそうですよね。
それから、なんといっても「名刺情報がきちんと取れる」ところが良いですね。カンファレンスの申し込みは、英語表記にしたり社名だけ入力したりなど、情報をしっかり記載しない人も一定数います。でもEightの名刺情報に基づいているスマートエントリーなら、その心配もなく、運営の効率もあがると思います。
ありがとうございます。イベントやカンファレンスにおけるさまざまな課題の解決に近づけるよう、私たちも日々努力を重ねます。最後に、「スマートエントリーにこんな機能があったらもっといい」と思うことがありましたら、教えてください。
カンファレンスって、参加者に負担をかけない仕組みであることが大前提だと思うんです。参加者にやってもらうことは、できるだけ少なく、感覚に訴えるようなシンプルな仕組みであるべきです。また開催中は、アナウンスを聞き逃したり、メールに気づかなかったりもします。だから、開催中の情報をすべて一括してEightに送れるような仕組みができるとより良いですね。プッシュ通知で届けば見逃しにくいし、参加者側の体験としても良いと思います。
そうすれば、開催中に「いまどんな気分ですか?」などとアンケートをとることもできるので、カンファレンスの質の向上もできます。参加者には負担をかけず、運営の効率も上げながら、カンファレンスを磨いていく。それが、さらなる参加者の満足にもつながっていく。その循環ができると良いですね。